折付注染の技法工程

手拭染は、その工程のかなりの部分が機械化されたとはいえ、基本的にはほとんど手工の職人芸にたよっています。以下は一般的な手拭染工程です。

⓪まずは版作成手拭いの作成には必ず版の作成が必要となります。版は職人が手作業にて型紙をほって行きます。概ね1つの型を彫り終えるのに1週間程度を要します。

①生地準備晒木綿の疋をタタミから丸巻に直す。巻き取り機械にかけられるとシワもとれる。晒木綿の品質は、岡(30番手)を最高とし、文(20番手)を次としている。

②型置き-板場(いたば)-糊付け晒し上りの生地を糊付台の上に敷き、枠に固定した伊勢形紙(型)を生地の上に乗せ、上から木べらで左右へ1回づつ防染糊をひき、1枚1枚積み重ねて、糊つけを行います。糊はふのりにベントナイトを混ぜたものを使用。糊つけを1回行うごとに生地の折りたたみを繰り返すので、横から見て糊と生地がミルフィーユ状になります。それを3から4反つみ重ねて糊付け台からおろします。生地の折り返しには相当の技術を必要とし、細かい柄ほど念入りにおこなわなければなりません。

③そそぎ染め-壺人(つぼんど)-板場で型置きされた生地を染代の上に置き、染料のこぼれを防ぐため、模様に沿って糊を絞り出し、模様のふちに土手を作る。生地の上から糊の土手の内、あるいは外に染料を流し込み、同時に機械で吸い込ませて染料を下まで通す。何度も染料を吸い込ませてから、さらに生地を反転させ同じ方法で再度染めます。このように生地の表と裏から二度染色するのが「そそぎ染め」最大の特徴です。手作業中心で長年にわたり培われてきた、職人達の優れた技術と感覚で、ほかの染色方法では味わうことのできない独特の色合い、微妙なタッチや立体感等が表現出来ます。

③水洗い-浜(はま)-染め終わると型置きの時の糊と上かぶりした余分な染料を工場内に引き込まれた工業用水を使用して機械で十分に洗い落します。この作業に携わる職人を浜方(はまかた)といいます。

④脱水充分水洗いの終わった生地を遠心分離機(脱水機)によって完全に脱水し、水気を飛ばす。

⑤乾燥-立干し(たてほし)-脱水した生地をダテと呼ばれる高所へ登って天日乾燥、もしくは室内の乾燥設備で立干しします。これを少ししめり気があるうちにダテから降ろす

⑥タイコ巻き干した生地をミシンをかけてつなぎ、機械にかけて1巻に巻く。タイコに巻くという。

⑦整理もとのタタミ仕上げに直し、10枚づつ2つ折りにしてローラーに通す。これで、のり付したようにピンと仕上がる。以前はこの工程は打ち屋と呼ばれる別の作業所が引き受けていた。砧(きぬた)打ちでつやを出し、しわを取って仕上げるのであるが大変な作業であった。

⑧裁断人の手によって1枚1枚丁寧に裁断。手拭いの完成